Page: 1/1   
cafeの空耳<69>星が好きだから・・・
 

       


              Cafeの空耳 <69>

               星が好きだから・・・


先日渋谷で行われた友達のウエディング・パーティーの後、近くの(MADRID)というスペイン料理屋に流れた。
その店は一緒にパーティーに参加していた友人が「みんなでパエリヤを食べよう!」と事前に数人の友達を誘っていた店だったが、その彼も行くのは初めてとのことだった。
聞くところによれば、その店のオーナーの娘が知り合いで待ち合わせをしているという。
その上その子の女友達も来るというので、僕は心弾ませついて行くことにしていたのだが、なんとその友人はアトランダムに人を誘ったから大変!
なんとパーティー流れで行くあてのないやからが、ゾロゾロとついて来てしまったのだ。
それでもスペイン料理屋へは10人ほどの予約は入れていたらしいが、倍の20人ほどに膨れ上がってしまった。
しかし今さら人数制限もできず、何とかなるだろうとのヤケッパチで僕らは店に向かった。
バス・ロータリーの裏の方と聞いていたその店は、パーティー会場前の大きな歩道橋を渡り5分ほどの所にあったが、人気店らしくすでに二階まで満席だった。
当然全員は入れず店の前で途方にくれたが、結局入れる数だけ二階の予約席へ押し込み、残りはすでに食後のコーヒーに入っていた隣りの6人テーブルが空くまで、友人が引きつれ近くのコーヒー・ショップで待機することとなった。
僕はその店に残ったのだが、雑然とする中気持ちが落ち着かず席には座らずに立っていた。
その時、大きなメガネをかけた派手な女の子が二階へ上がってきた。
その子は我々の席を見渡しながら怪訝な顔をしていたが、僕はその子に見覚えがあった。
「や〜!」
僕はとっさに声を掛けた。
その子は僕の声に一瞬驚いたように眼を見開いたが、彼女も僕のことを覚えていたようだ。
「あら〜!」
「僕のこと覚えている?」
僕は確認するかのように彼女の顔を覗きこんだ。
「はい、青山のお店の方ですよね!」
メガネの奥の大きな瞳が輝いた。
そうだ、この子は今コーヒーを飲みにいっている友人が、一度僕の店に連れてきたことのある子だった。
この時僕は、このラテン的な彼女がこの店の娘であることを確信した。
彼女は余りの人の多さと、その場に友人がいなかった事に困惑していたが、さすがに店の看板娘、立っていた僕に一階のカウンター席に空きがあるので、二人で下で飲ないかとのお誘い。
渡りに船とはこのことだった。
僕は思わぬ展開に笑みが込み上げ、有頂天で階段から転げ落ちぬよう最善の注意を払いながら下りた。
「私のこと覚えてくれていたんですね」
席に着くなり彼女が僕の顔を覗き込んだ。
「ああもちろん!歌ってるんだよね」
そう、僕は彼女が歌手であることを覚えていた。
「え〜と?」
しかし名前はまったく記憶から消えていた。
「はい、リーサです」
(そうだ、LISA(リーサ)だった!)
僕の頭の中に初めて会った時のことが鮮明に蘇った。
リーサは美FOUR(ビフォア)という女性ユニットを組んでいる歌手で、正式にはMALISA(マリーサ)スペイン人のパパと日本人のママのハーフである。
ハーフといえば、日本では当たり前のように両親の国籍が違うとハーフというが、そう呼ぶのは日本だけなのだ。
1960年代。戦後アメリカの進駐軍との間に生まれた子供を横浜などでハーフといったのが始まりだが、当然のように今でもその呼び方が蔓延している。
しかし欧米人からすればハーフといういい方は、数量的に不足しているとみなしたり、雑種などの動物的な見解を表してしているため差別的でるとして使わない。
ではどう表すのかといえば、ヨーロッパ人とアジア人の両親に生まれた欧亜混血の子は「Eurasian」
アフリカ系アジア人は「African−Asian」 イギリスの血が入ったのはPartーEnglish」
などだが、そうなればリーサは「ユーラシアン」となるわけだ。
しかし、数年前にアメリカ人から聞いた話では「ダブル」という表現がいいのではといっていたことを思い出した。
確かに「ハーフ」ではなく「ダブル」なら、二つの異文化の血が流れているのだから、人格的にも優位であると感じるからだ。
みなさん!これからは「ダブル」と呼ぼうではないか!
世界のグローバル化が進んでいる今、日本のメディアもいつまでも戦後の偏見を引きずった「ハーフ」という表現方法について考え直した方がいいのいではと思う。
話はそれてしまったがそれからの時間、僕はリーサとまるでデートをしているかのようで、胸の高鳴りを必死に押さえていた。
そしてスペイン料理定番のカタクチイワシの酢漬けをつまみながらも、リーサのかけている大きなメガネが伊達であることも分かったが、その奥の大きな眼からは、物事に対するリーサの情熱が伝わってきていた。
そんな中僕は、リ−サのうなじに大きな星を見つけた。
白ワインでほんのり火照ったリーサの肌に、その星が鮮やかなピンク色に浮き出たかのように錯覚した。
「それ本物?」
僕はその星がタトゥーではなくシールだと思った。
「うん!」
明るくリーサは答えた。
「また大きな星を入れたんだね〜」
「うん、星が好きだから」
リーサは悪びれず眼を輝かせていた。
そして、そんな美しく快活なリーサとの幸せな時間は瞬く間に過ぎ「あれ!なにしてんの二人で!」
と、コーヒー・ブレイクから戻った友人が素っ頓狂な声を発しながら戻ってきた。
こうして全員が二階席に陣取り、テーブルには数々の料理が並び、海の幸やオーガニック野菜をふんだんに使ったパエリア(パエージャ)が運ばれた。
そして、ワインのボトルが次々と空になっていった。
それはまるで、スペインの大家族のような宴へと変わった。
僕はそんな光景を嬉しそうに見詰めるリーサが、エキゾチックなスペインの夜空に輝くスターになれるよう祈った。

                          by Hide

尚、残念ながら現在ユニット<美FOUR>は解散中で、新たなユニットを組むべくマリーサは奮闘中です! 

                            

| Walkin' | 15:07 | comments(0) | - |

Calendar

  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< May 2018 >>

Profile

Search

Entry

Archives

Category

Feed

Others

無料ブログ作成サービス JUGEM

Mobile

qrcode